歴史の幕閉じた「としまえん」、中国人も限りない愛惜の情…「さようなら、そしてありがとう!」

東京都練馬区にあったとしまえんは、8月31日をもって94年の歴史に幕を閉じた。別れを惜しんだのは日本人だけではない。日本で生活する中国人も、としまえんについてのさまざまな思いをSNSに寄せた。

中国人による書き込みを見ると、としまえんに「通いつめていた」わけでもないようだが、それでも実際にとしまえんに足を運んだ人ならではの文章が目立つ。


「初めて、そして最後の(としまえん)訪問だった」、「としまえん最後の営業日だった。朝の散歩のついでに寄ってみた」、「昨日はとしまえんに行った。そして、今年になって最も素晴らしい夕日を見ることができた」などだ。

考えてみれば、日本人だってとしまえんに頻繁に通った人はそう多くないのではないか。ただ、90年以上の長きにわたって存在し、行こうと思えばいつでも行けるはずだった施設がなくなってしまうともなれば、愛惜を感じるものだ。このあたり、日本人も新たに日本に住むことになった中国人も、変わりはないようだ。

としまえんに遊びに行った折に、日本人の遊び方を「奇怪だ」と思った経験をつづった中国人もいる。バンパーカーという、電動カートを運転する遊びについてだ。本来は車体をぶつけあって楽しむはずなのに、日本人は運転開始から終了時まで「だれも車をぶつけあわない。こすらせることさえしない」と指摘し、「それでもバンパーカーと呼ぶのか」と驚いた。ちなみにバンパーカーの名の由来は英語の「bunp(衝突する)」で、中国語では「碰碰車(ポンポンチャー、ぶつけっこ車)」と訳されている。

中国人に限らず、外国に滞在した際に、その国の人々の発想や行動を典型的に示す場面に遭遇すれば、そのことが印象深く記憶に残るものだ。投稿した中国人にとっては、遊びの際も羽目をはずすことができない日本人に驚いたことで、としまえんがとりわけ思い出深い場所になったのかもしれない。

としまえんの跡地がハリーポッターのテーマパークになるとの情報に関心を示した人もいる。「周辺の不動産価格は高騰するだろう」とする“ビジネスライク”な書き込みがある一方で、「私もハリーポッターは好きなのだが」とした上で、「(この場所は)1世紀という時の中で、無数の人にさまざまな喜びやすばらしい思い出を与えてきたに違いない」と、としまえんを名残惜しく思う書き込みを寄せた人もいる。

そして、惜しまれつつ姿を消す存在に寄せる言葉は、日本人も中国人も違いはないようだ。中国人の投稿には、自らの言葉で、あるいは日本人の言葉を引用して「さようなら、としまえん。おつかれさま、としまえん」、「1926—2020 ありがとう としまえん」、「94年間、ありがとう。そして、忘れがたい1日を過ごさせてくれたとしまえん ありがとう」といった書き込みが並んだ。(如月隼人)

引用元:BIGLOBEニュース

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