自ら車いす要望、周到に逃走計画 男は元組員 25日で発生1週間

 現行犯逮捕後に、けがで入院していた東京警察病院(東京都中野区)から逃走した韓国籍の住所・職業不詳、佐藤●(=さんずいに元)基(もとき)こと金(きん)●(=さんずいに元)基(げんき)容疑者(64)が、病院内で車いすの使用を強く要望し、痛みを強調するなど移動に不自由な様子を装っていたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。25日で逃走から1週間となるが、金容疑者が元暴力団組員だったことも判明。


バスやタクシーを乗り継ぎ、知人の車で都外に逃走しており、警視庁は周到な計画のうえでの逃走とみて行方を追っている。

 金容疑者は13日、中野区内のすし店で発生した窃盗事件で身柄を確保される際に階段から転落し、鎖骨や肋骨(ろっこつ)を折った。中野署員に窃盗容疑で現行犯逮捕されたが同日中に釈放され、同病院に入院した。

 捜査関係者によると、負傷部位は上半身だったものの、金容疑者は車いすの使用を自ら強く要望。付き添っていた署員の前では、声を上げて痛がるそぶりを見せていたという。

 金容疑者の退院は前倒しされたが、退院予定前日の18日朝に逃走。病院5階の多目的トイレに車いすごと入り施錠した後、付き添いの署員に「忘れ物のメモ帳を取ってきてほしい」と頼み、署員が離れた数十秒の間にトイレを出て非常階段から逃げた。周辺の防犯カメラには、走ってバス停に向かう姿が写っていた。

 金容疑者はJR中野駅北口でバスを乗り継ぎ、練馬区内のバス停で降り、タクシーに乗車。バスの運賃は紙幣で支払っており、現金を所持しているとみられる。警視庁は18日夜、知人の車に同乗して東京都外に出たことを確認しており、指名手配して行方を追っている。

 ■ 一般患者に配慮 厳重警戒難しく

 けがの治療や刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置で入院した容疑者らが、病院から逃走するケースは少なくない。病院側が一般患者への配慮から院内での警察官の厳しい警戒に難色を示すこともあり、多数の警察官を配置するのが難しいという現実もある。

 平成29年2月、強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された少年=当時(17)=が胸の痛みを訴え、搬送先の北海道函館市の病院で診察を受けた後に逃走。警察官2人が付き添っていたが、少年は治療室のベッドの上でひそかに腰縄を切っていた。少年は逃走後に手錠も電動工具で切断したが、約7時間後に警察署に出頭した。

 施錠された病室から逃走したケースもある。昨年5月、名古屋市守山区の病院で、現住建造物等放火容疑で逮捕され鑑定留置中の男=当時(57)=が病室の換気用の窓から逃走。この際は、警察官の監視はなかった。男は約22時間後に身柄を確保された。

 金容疑者のように鑑定留置ではなく、治療のためにいったん釈放されて入院するケースでは、警察は付き添いや行動確認しかできない。警察側が警戒を過度に強めれば、プライバシー侵害や不当捜査を主張される恐れがあるためだ。

 また、金容疑者が入院していた警察病院は、警察官らだけではなく一般も広く利用し他の病院同様に配慮を求められる上、容疑者らだけを隔離する病棟もない。2人の警察官が交代で付き添ったが、カーテンで仕切られた病室内で、金容疑者を直接見られない場所に待機していた。

 ただ、金容疑者の求めに応じトイレを離れた際、応援を呼ぶなどしていなかったのも事実で、警視庁幹部は「油断があったと言わざるを得ない。配慮しつつも容疑者から目を離さないのが原則だ」と話している。

引用元:BIGLOBEニュース

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