長男刺殺の元農水次官「刺さなければ殺されていた」 初公判で起訴内容認める
東京都練馬区の自宅で今年6月、無職の長男を刺殺したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官の熊沢英昭被告(76)は11日、東京地裁(中山大行裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。
起訴状によると、熊沢被告は6月1日午後3時15分ごろ、自宅で長男英一郎さん(当時44歳)の首などを包丁で多数回突き刺し、失血死させたとされる。
警視庁や捜査関係者によると、長男は中学生の頃から家族に暴力を振るうようになった。中高一貫校を卒業後、私立大や専門学校、大学院に通い、就職した時期もあった。両親とは別居していたが、事件前の5月25日に電話で「(実家に)帰りたい」と伝え、同居を開始。その後は自宅に引きこもってゲームで遊び、両親に暴力や暴言を繰り返したとみられる。
6月1日の事件直前、隣接する小学校で開かれていた運動会の音に腹を立てて「うるせえな、ぶっ殺してやるぞ」などと発言し、熊沢被告から注意されて口論になったとされる。事件後に被告が自ら「息子を刺し殺した」と110番して発覚した。
熊沢被告は「自分が刺さなければ(長男に)殺されていたと思う。人に危害を加えるかもしれないと不安に思った」などと供述していたといい、体にはあざも残っていたという。
熊沢被告は農水省の畜産局長、経済局長、農水審議官を歴任し、01年に事務次官に就任。牛海綿状脳症(BSE)への対応の遅れなどへの責任を取って、02年に退任した。【田中理知】
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