チェルノブイリの今、カレンダーで知って 「過去の話でない」 市民団体製作
来春で35年となる旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故の被災地に暮らす、人々の姿を伝えるカレンダーが完成した。市民団体「チェルノブイリ子ども基金」(東京都練馬区)が製作し、販売した収益は汚染地域で事故後に病気になった、子どもたちの保養や医薬品の支援に充てている。2020年は新型コロナウイルスの感染が広がり、病気で免疫力の落ちている子どもたちへの影響が危ぶまれた。
基金は「カレンダーを通して健康被害が今も続いていることを知ってもらいたい」と期待する。
原発事故は1986年4月に起きた。基金は被災したウクライナとベラルーシで96年から「保養プロジェクト」を毎年実施。夏の休暇などを活用して被災者らを現地の保養施設に招待し、汚染の心配のない場所で過ごしてもらいながら健康診断や治療、カウンセリングなどを受けてもらう。これまでに子どもたち延べ約4500人を招いてきた。
20年は新型コロナの影響で日本からスタッフが渡航できず、現地も保養施設の閉鎖や外出制限などを余儀なくされた。
プロジェクトの実施も危ぶまれたが、基金が支援する現地の慈善団体や病院が検温や感染防止対策に努め、開催時期を遅らせてベラルーシで24日間、ウクライナで12日間行い、子どもたち計70人が参加。日本ともテレビ電話などでつなぎ、健康状態や近況を確認することができた。
21年版カレンダーの表紙に採用されたのは、放射性物質による汚染の影響が残るベラルーシ・ゴメリ州に住む女の子3人。クリスチーナさん(11)は腎臓、ヴェーラさん(11)はリンパ管と心臓、キーラさん(11)は副腎に疾患がある。月別ではプロジェクトの参加者を中心に、小児がんなどの病気と共に暮らす姿が紹介されている。
カレンダーの写真を例年撮影してきた、基金の佐々木真理事務局長(56)は「チェルノブイリ原発事故は遠い過去の話だと思われがちだが、決してそうではないと伝えたい」と話す。東京都内で毎年開いてきたプロジェクトの報告会や講演会も、20年はコロナ禍で開催できず、募金などの支援金が不足しているという。
カレンダー(見開きA4判)は1部800円、送料200円。収益は基金の支援活動に活用される。問い合わせは基金(03・6767・8808)。申し込みは電子メール(cherno1986@jcom.zaq.ne.jp)で。【千葉紀和】
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