第三回定例会で前川区長が所信を表明しました

はじめに

 令和5年第三回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
 激甚災害に指定された5月下旬から7月下旬の豪雨等により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 去る6月22日、名誉区民の、野見山暁治さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
 4年振りに、友好都市イプスウィッチ市への区立中学校生徒派遣事業を再開しました。33校65人が、現地校での学習やホームステイに参加し、相互理解、友好交流を深めることができたと考えています。私も招待され、市長とお会いしました。都市提携30周年を迎える来年、練馬区への来訪を提案しました。イプスウィッチ市が考えている「ネリマガーデン」改修について、意見交換を重ねることも決まりました。共に30周年記念事業の検討を進めていきます。

補正予算案の編成

 次に、補正予算案の編成についてです。
 区独自に実施している学校給食への食材料費補助、教育・子育て施設や介護・障害者児サービス事業所に対する光熱費等補助の延長など物価上昇の影響を緩和するための緊急的な対応、景気対策工事・物品購入など区内中小企業への支援のほか、新規・充実事業に要する経費等について、今年度3度目となる補正予算案の編成作業を進めています。近くご提案する予定です。

物価上昇に対する区民・事業者への支援

 次に、物価上昇に対する区民・事業者への支援についてです。
 これまでに子育て世帯生活支援特別給付金を約6,900件、電力・ガス・食料品等価格高騰支援給付金を約7万600件、施設等運営支援臨時給付金を約1,100件支給しました。
 コロナ禍で区が独自に取り組んできた、事業者に対する借換え特別貸付は、先月末までに、439件、61億円の融資を実行しました。
 また、物価上昇の影響を受ける事業者の資金繰りを支援するため、昨年10月に開始した緊急経営支援特別貸付は、先月末までに942件、67億円の融資を実行しています。現在の物価上昇の状況を踏まえ、受付期間を今年度末まで延長する考えです。

子育て・教育施策

 次に、子育て・教育施策についてです。

子育てサービスの充実

 「練馬こども園」は今月中に、今年度予定の1園に、更に1園追加して2園を認定し28園とします。
 民間カフェ等と協働して「練馬こどもカフェ」の拡大に取り組み、10月から1店舗増やし、8店舗で実施します。

学校給食費等補助の対象拡大

 今年度から開始した学校給食費多子世帯負担軽減補助事業の対象者を拡大する方針です。区内在住の特別支援学校の小学部、中学部に在籍する第2子以降の児童生徒に対して、区立小中学校における給食費相当分を支給したいと考えています。
 また、私立幼稚園副食費補助事業の対象者も、第2子以降の園児に拡大する考えです。

不登校対策方針の改定

 令和3、4年度、区独自に実施した不登校実態調査の結果では、不登校の開始時期、きっかけ、不登校当時の悩み、必要としていた手助け、利用した支援とその評価、卒業後の状況などが明らかになりました。
 この調査結果や国の「不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方」を踏まえ、本年8月に不登校対策方針を改定し、児童生徒一人ひとりの社会的自立に向け、安心できる学校づくり、早期支援、多様な支援の3つの方向性を示しました。これに基づき、取組の充実と体制の強化を進めます。

高齢者施策

 次に、高齢者施策についてです。

街かどケアカフェの充実

 交流・相談・介護予防の拠点となる街かどケアカフェは、地域サロン型を7月に1か所開設しました。9月には更に3か所増設します。

フレイル予防事業の展開

 7月から、公衆浴場を活用したフレイル予防事業を開始しました。今年度は8か所の公衆浴場で、117回開催します。今月、フレイル予防のスマホアプリを利用できるようにします。趣味や関心、健康状態に合わせて、教室やイベントなどの情報を配信し、高齢者の社会参加を後押しします。

新型コロナウイルス感染症対策

 新型コロナウイルス感染症の5類移行後、日常の生活に戻りつつあるなかで、都内の定点医療機関当たりの患者報告数は、増加傾向にあります。保健所は、5月8日から継続してきた透析患者や妊婦等の入院調整、コールセンターを9月末で終了する予定ですが、区民に対する相談支援は引き続き行っていきます。
 9月20日から、生後6か月以上の希望する全ての方に、オミクロン株XBB対応のワクチン接種を行います。引き続き、練馬区モデルで実施します。

まちづくり施策

 次に、まちづくり施策についてです。

石神井公園駅南口西地区市街地再開発事業

 石神井公園駅南口西地区市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、権利変換計画の認可取得に向けた手続きを進めています。再開発組合は、7月に計画を作成し、8月から9月にかけて縦覧を実施しました。認可取得後、地区内に居住・営業している方の移転、既存建物の除却を行い、6年度の再開発ビルの工事着手を目指します。区は引き続き、円滑な事業実施に向けた取組を支援します。
 補助232号線の再開発事業区域から富士街道までの区間については、用地取得に必要な調査を実施するなど、関係権利者との協議を更に進めます。

西武新宿線の連続立体交差事業化

 西武新宿線の連続立体交差化は、鉄道と交差する補助230号線や武蔵関駅交通広場などと一体的に事業を進めています。更に、補助135号線の青梅街道から新青梅街道までの区間についても、事業化に向け、年内に現況測量に着手します。

稲荷山公園の整備

 長期プロジェクトである稲荷山公園の整備に向けて、来月「稲荷山公園の整備に関する専門家委員会」を設置します。造園や動植物など各分野の学識経験者の意見を聴きながら、自然環境の保全方法なども含め、段階的な整備のロードマップ作成に向けた検討を進めます。今後も節目ごとに地域の皆様への周知を行い、ご意見を伺いながら事業を進めます。

経済、都市農業施策

 次に、経済、都市農業施策についてです。

スマート商店街プロジェクトの実施

 スマート商店街プロジェクトの一環として、先月28日、練馬区商店街連合会と連携し「商店街デジタル化セミナー」を開催しました。デジタル化推進アドバイザーによる、先駆的な取組事例の解説や質疑応答などを行いました。18商店会31名が参加し、「デジタル化の具体的なイメージが掴め、参考になった」などの声を頂きました。引き続き、商店街のデジタル化を進めます。

全国都市農業フェスティバル

 11月19日の全国都市農業フェスティバルまで、2ヶ月半となりました。招聘した国分寺市、松戸市、名古屋市、京都市をはじめ、全国から24の自治体が参加します。世界都市農業サミットで確認した都市農業の魅力と可能性を、各都市の皆様と一体となって発信します。
 開催前日には、被招聘都市の農業者やJA職員、行政担当者と、練馬区の都市農業の視察、知見や経験等を学び合う意見交換会を実施します。
 フェスティバル当日は、光が丘体育館で、区や被招聘都市の農業者によるトークライブを実施します。午前は「ファンの掘り起こし」、午後は「営農意欲の向上」の2部構成とし、今月中に入場者の募集を開始します。
 光が丘公園では、京野菜の収穫や多肉植物の苔玉作りなどを体験できるブースを設けるとともに、練馬区と24都市によるマルシェで、各都市特産の農産物や加工品などを販売します。更に、各地の農産物を使った様々なメニューを提供するキッチンカーが出店します。
 機運醸成にも力を入れています。既に、農業者の顔写真入りのポスター、のぼり旗を区内全直売所に設置しています。モザイクアートを作成するため、7月から、区民の皆様の写真投稿を募集しています。10月には、練馬総合運動場公園で、子どもたちが「農」をテーマに飾り付けたランタンが夜空を彩る「ねりまランタンナイト」を実施します。
 開催直前には、区内経済団体・商店会と連携し、新たに作成するポスター、のぼり旗を設置します。区内全駅と池袋駅などでの広告を掲出するとともに、区役所や光が丘IMAなどのモニターでPR映像を放映します。
 また、交通機関にも協力を頂いています。西武鉄道は、10月から3か月、練馬産野菜を使ったコース料理を提供するレストラン電車を運行します。フェスティバル当日は、国際興業バスによる「収穫体験とフェスティバル会場を巡る区民限定ツアー」を実施します。
 参加自治体や区内農業者、JA東京あおばと連携し、区民の皆様、区議会の皆様のご協力を頂きながら、開催に向けて全力で取り組んでいきます。

おわりに

 区長に就任して10年目になります。この間、全国自治体を先導する多数の政策、「練馬区モデル」を実現してきました。
 区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」の創設、保育所待機児童ゼロの3年連続達成、街かどケアカフェの設置、特別養護老人ホームの増設、病床1,000床の大幅増、順天堂練馬病院への救命救急センターの開設など、福祉・医療は飛躍的に充実しました。大江戸線の延伸は、私が小池都知事と直談判して、着工に向けて具体的に動き出しました。西武新宿線の高架化、東京都練馬児童相談所の開設など、練馬区が推し進めてきた重要な政策も実現に向かっています。6月には、ハリーポッタースタジオツアー東京がオープンしました。行く行くは年間300万人、うち3割はインバウンドの来場が想定されています。まさに練馬区の世界デビューであり、地元商店街の活性化、雇用の創出にも大きく寄与しています。今後の入場者数の増加等に伴い、更なる波及効果が期待されます。
 こうした政策に加えて、文化芸術の振興にも力を尽くしてきました。文化芸術は人間が人間である証であり、私たちの存在を根源で支えるものです。みどりの風吹くなか、誰もが優れた文化芸術を楽しめ、未来に夢を描くことができるまちを創りたい。区長として変わることのない志です。
 今年で6回目となる「真夏の音楽会」を先日開催しました。都心に行かなくても、質の高い文化芸術を身近で楽しめるイベントとして、区民の皆様に定着しています。今回は、「魔法の世界」をテーマに、大谷康子さんとNHK交響楽団による演奏を楽しんで頂きました。大谷さんには、11月3日に練馬総合運動場公園で初開催する「ねりまの森の音楽祭」をプロデュースして頂きます。優れた音楽が、ホールから地域に出ていく、練馬区では初めての例になります。
 平成28年に初めて開催した「みどりの風 練馬薪能」もすっかり定着しました。松の風文化公園の豊かなみどりのなか、野村万作さん、梅若万三郎さんなど、日本を代表する演者による優美で幻想的な薪能が、23日に7回目を迎えます。来年3月6日には、武蔵大学大講堂で、野村家3代にわたる狂言の伝承をテーマに、上映会とトークショー(仮称)「野村万作から萬斎、裕基へ」を開催します。
 区立美術館は、これまでも独創的な優れた企画により、内外から高い評価を得てきました。現在、「まちと一体となった」、「本物のアートに出会える」、「図書館と融合する」という、新しい発想による美術館にリニューアルするため、「現代の富士塚」をイメージした個性的な建築物の基本設計を進めています。7年度に着工し、9年度に開館する予定です。
 今後も、新しい発想により、誰もが楽しむことができる、練馬ならではの文化芸術を花開かせるべく、努力していく考えです。
 我が国は、歴史上経験したことのない、少子化という国家的危機に直面していますが、国の危機感は全く伝わってきません。人口減少に伴う市場規模の縮小や労働力の不足に加え、技術革新の遅れなどもあり経済は永く低迷しています。財源を国債に依存する財政運営を永く続けた結果、国の債務残高はGDPの2倍を超え、政策選択の幅が狭められています。新型コロナとロシアによるウクライナ侵略の直撃を受け、状況は更に悪化しています。そうしたなか、法人税を中心に税収は増加傾向にありますが、日本経済の実力を反映したものなのか、強い疑念を抱いているのは私だけではないと思います。
 区を取り巻く環境は極めて不透明ですが、こうした状況にあっても、着実に区政を運営することが私の責務です。これからもあらゆる分野で工夫を重ね、「練馬区モデル」を展開し、区民の皆様にお約束した「改革ねりま第Ⅲ章」を必ず成し遂げる。固く心に決めています。皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
 なお、本定例会には、「令和4年度練馬区一般会計歳入歳出決算」など、30件の議案を提出しております。また、本定例会に補正予算案を追加して提案したいと考えています。併せてご審議のほど、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

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引用元:練馬区公式ホームページ

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