「としまえん」閉園、最後の打ち上げ花火に思い託す
東京都練馬区の遊園地「としまえん」が31日で閉園し、94年の歴史に幕を下ろす。来園者や地元住民に親しまれてきた夏の夜の花火も、同日午後8時からの打ち上げが見納めとなる。「新型コロナウイルス禍で花火を楽しめなかった人たちに元気を取り戻してほしい」。花火師の吉田敬一さん(57)は最後の打ち上げに願いを込める。
1967年に始まったとしまえんの花火は、夏の風物詩として人気を博したが、人口増に伴う周辺の宅地開発により、2004年に中止となった。しかし、「名物の花火をまた見たい」と懐かしむ声は根強く、17年、世界最古級の回転木馬「カルーセルエルドラド」が作られて110周年を機に再開した。
「園内で収まる規模で楽しんでもらえる花火を」という園側の要望を受け、打ち上げを請け負ったのは、吉田さんが工場長を務める上州花火工房(前橋市)。
騒音を抑えるために、上空で大きく開く尺玉は使えず、本来は尺玉の足元を彩る小型花火を使用した。オオカミの遠ぼえのような音響を楽しめるものや、くるくるとした線を描きながら上がるものなど、豪快な一発がなくても、観客を飽きさせないよう、ユニークな仕掛け花火を次々に披露した。通常使用する花火は7分間で3000発。夏の週末の夜に打ち上げ、プールサイドから間近で観覧できるのが好評だった。
最後の夏となった今年、鮮明な色合いを出すのが難しい青色の花火をプログラムに加えた。青は医療従事者への感謝の気持ちを示す色。「来園者の中にも新型コロナウイルスと闘う医療従事者がいるかもしれない」との思いからだ。
吉田さんも若い頃、「流れるプール」を目当てに友人と園に通った。「閉園は寂しい。ここでの経験を胸に、これからも花火で見る人を楽しませていきたい」と語った。
動画・30日のプール盛況
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