元農水次官長男殺害 弁護側が正当防衛主張、無実訴え 控訴審初公判
東京都練馬区の自宅で同居の長男(当時44歳)を刺殺したとして殺人罪に問われ、1審で懲役6年の判決を受けた元農林水産事務次官の熊沢英昭被告(77)の控訴審第1回公判が20日、東京高裁(三浦透裁判長)で開かれ、弁護側は「正当防衛が成立する」と新たに主張し、無罪を訴えた。検察側は控訴棄却を求めた。
事件は2019年6月に発生。
1審・東京地裁判決(19年12月)は、熊沢被告が練馬区の自宅で長男の英一郎さんを包丁(刃体の長さ約17・5センチ)で一方的に刺し、失血死させたと認定した。英一郎さんは無職で引きこもりがちだったとされる。
弁護側は控訴審で、熊沢被告が事件の約1週間前、英一郎さんから殴る蹴るの暴力を振るわれ、「殺される」と恐怖心を抱いたと説明した。事件当日、英一郎さんが至近距離でファイティングポーズを取り「殺すぞ」と発言したことから、熊沢被告は包丁で刺して抵抗するしかないと考え、もみ合いになって事件が起きたと主張。
「正当防衛が成立すると考えるのが実態に即している」と訴えた。
1審で正当防衛を主張しなかった理由については「自分の罪を償いたいという被告の意向や、短期間の集中審理で結審する裁判員裁判の特性も考慮し、争点を絞って早く裁判を終わらせた方がいいと考えた」と述べた。【巽賢司】
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