ちひろ美術館を訪れた壇蜜 「童心に返れる貴重な空間です」
美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡る。今回は、東京都練馬区の「ちひろ美術館」を訪れ、その収蔵品や展示について語った。
壇蜜:わぁ、懐かしい絵本がいっぱい! 私の母は保育士をしていて、母が敬愛するいわさきちひろさんが手がけた絵本はいつも家にあって読んでもらっていたんです。
この『あかちゃんの くるひ』をめくりながらいつか私もお姉ちゃんになる日がくるのかな、なんて想像したりしていたなぁ。
山下:絵本美術館であるちひろ美術館・東京では、館内の図書室でいつでもちひろの絵本に触れることができます。机や椅子、展示室で作品を壁にかける位置なども子供に合わせて低めにしてあり、小さな子供でも安心して楽しめますね。
壇蜜:人生初のちひろ作品は『おふろでちゃぷちゃぷ』で、3〜4歳の記憶です。
あひるがトコトコお風呂へ向かう姿がたまらなく愛らしく、楽しそうで、ちひろさんの絵のおかげでお風呂が好きな子供でした。その『タオルを持つあひる』の絵を展示室の「子どもの心を見つめて いわさきちひろ展」(来年1月末まで)で見つけ、喜びのあまり駆け寄ってしまいました。
山下:こんな時代が自分にもあったと、童心に返れる貴重な空間です。若い頃はひとりで、結婚して親子で、孫を連れ3世代でと、人生の折々に訪れるファンが多い美術館でもあります。
壇蜜:ちひろさんの作品は時代を超えて人々に寄り添い、触れるたびに新鮮な感動をくれる。慣れ親しんだ絵本も、今こうして開くと幼かった頃とはまた違う発見や楽しみがありました。
【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。
壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊、12月9日発売)。
●ちひろ美術館・東京
【開館時間】10時〜17時(最終入館16時30分)※当面の間16時閉館、最終入館15時30分に短縮
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日/GWと8月10〜20日は無休)、年末年始(1月2日から開館)、冬期休館・臨時休館あり
【入館料】一般1000円
【住所】東京都練馬区下石神井4-7-2
撮影/太田真三 取材・文/渡部美也 衣裳/Wild Lily
※週刊ポスト2020年12月25日号
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