【23区で唯一】障害者向け施設と学童保育を併設したら

今回のテーマは『障害者向け施設と学童保育を併設した「谷原フレンド」「谷原あおぞら学童クラブ」』です。

併設の狙いは?

この施設は、西武池袋線の石神井公園駅から歩いて20分ほど行った、練馬区谷原の住宅街の中にあります。2階建ての建物で、1階が重度の身体障害者や知的障害者などに向けて生活介護事業を行っている施設「谷原フレンド」。


2階が保護者の都合などで主に放課後の時間帯に保育を必要とする児童向けに遊びや生活の場を与える「谷原あおぞら学童クラブ」となっています。

練馬区が社会福祉法人 東京都手をつなぐ育成会に運営を委託して、2005年4月に開設。現在19年目を迎えています。こういった施設は、練馬区内でもここ一つだけ。他の区には存在しません。運営の目的について、「谷原フレンド」及び「谷原あおぞら学童クラブ」の施設長、笠原拓也さんに伺いました。

施設長 笠原拓也さん
「障害者施設の利用者と学童クラブのお子さんが定期的に触れ合ってですね。障害の方の日常を子ども達には知っていただく。そんなことで理解を深めてもらって、次世代育成に繋げていると…」

「学童クラブ」は、通常小学校1年生から3年生が対象。障害のあるお子さんは6年生までで、現在40数人が登録しています。一方「谷原フレンド」は、共同作業所などで働くのは難しい重度の障害者の方を対象に、月・水・金及び火・木・土で2つのグループに分けて、それぞれ10人ほどの方が通所し、エアロビ、書道、ドラムサークル、音楽などの講師活動や、ストラップづくり、和紙染め、壁面装飾の製作などの創作活動に勤しむ他、近隣の公園や図書館、美術館といった公共の施設に出かけたり、ご近所の清掃などで社会参加を促す活動を行っています。

優しい子供が育つ実感。併設の効果

2つの施設の具体的な交流としては、谷原フレンドの利用者の誕生日に、学童クラブの子ども達がプレゼントを持って行ったり、歌を歌いに行ったり…。夏休みなどには、お昼ご飯を一緒に食べたりもします。また地域住民の方々も交えて、カフェを開いたり、お祭りのようなことを行ったりなど、様々な形で交流を行っています。七夕やハロウィン、クリスマスなど、季節ごとの催しも盛んで、正月などは書道やけん玉、カルタ、そして福笑いなども一緒にします。「谷原フレンド」の主任支援員の方に、その時の模様を伺っています。

『谷原フレンド』の主任支援員
「福笑いで目隠ししたりとかして、声掛け合ったり、利用者の方とか、学童の方、児童の皆さんとかも声掛け合ったりして、そっちは目だよ、鼻だよとか遊びながら…」

日常的に交流を行うことで、実際にどんな効果が見られるかについては、「谷原フレンド」と「あおぞら学童クラブ」の、それぞれの主任支援員の方に伺っています。

『谷原フレンド』主任支援員の男性
「児童の方が、利用者の方に対して、すごく興味を持たれていて、普段何してるのか?とか、例えば映画館に行ってるんだよ〜とかって言ったら、へえ〜行ってるんだ〜と。何かここと家との往復みたいな感じで、思ってたのかも知れないですけど、児童の皆さんは」

『谷原あおぞら学童クラブ』主任支援員の女性
「障害のあるお子さんも通っているんですが、例えば排泄がうまくいかなかったりした時に、皆で大騒ぎするのではなくて、ちょっと職員に、困ってる状況を伝えてくれるような子ども達が居た時に、やっぱり優しい子ども達に育ってるなということを、感じました」

まずは障害者の方々の実際の生活を知ること。そして例えば音楽やゲームなど共通の趣味を見付けて、交流することで、子ども達は確実に思いやりのある優しい子どもに育っていくというわけです。

「コロナ禍以前」の交流を目指して

しかしながら実はこの3年近く、こうした交流は、満足に行えなくなっていました。その理由は、”新型コロナ禍”です。子ども達もそうですが、特に重度の障害がある方々には、感染した場合のリスクが高く、人的な接触などは、極力避けねばならなかったからです。それでもオンラインを利用したり、それぞれの施設の職員を介しての交流は何とか行ってきたのですが、もどかしさは、どうしても拭えません。

『谷原あおぞら学童クラブ』主任支援員の女性
「いつも、『あおぞらの子ども達によろしくね』という風に、声を掛けてくれたり、それから『会えなくなって、淋しくて泣いちゃった』とかっていう風にお話して下さる利用者さんもいらっしたので、出来るだけ大勢でなくても、少しの人数でも、学童クラブの楽しさ、子どもたちの元気をお届けできるような場面を持てたらなと思って」

現在「谷原フレンド」「谷原あおぞら学童クラブ」では、”コロナ禍”以前の状態に、できるだけ戻していく方向で動いています。最後は笠原施設長にまとめていただきます。

施設長 笠原拓也さん
「ここの学童でですね。育ったお子さんが改めてアルバイトで来てくれたりですとか、まあそんなこともあるみたいなので、種を蒔いてきている、それは今でも続けてますし、きちんと苗として育ってきているんだという風に…」

幼い頃から様々な人が世の中に居ることを知って、優しく接することを覚える。子ども達に得難い財産を与えるこんな施設がもっと増えれば良いのにと、今回の取材を通じて感じました。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家))

引用元:BIGLOBEニュース

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