中野区の「ケアマネ音頭」が全国に…カラオケDAMでの配信目指し、挑戦した音楽イベントで好成績

 東京都中野区鷺宮地区の介護や福祉の関係者がケアマネジャーを題材にして制作した盆踊り「ケアマネ音頭」が、7月から通信カラオケ「DAM(ダム)」で配信され、全国に広がっている。関係者は「中野で生まれた歌と踊りで全国の人にケアマネジャーを身近な存在に感じてもらえたら」と話す。(大前勇)

リハビリにも

 ♪一人で抱えた介護の悩み それも今日まで さようなら——。


 ケアマネジャーを題材に、介護保険の申請の流れなどが歌詞に盛り込まれたケアマネ音頭は、鷺宮地区の介護や福祉の約30の事業者で構成する「鷺宮エリア介護ネットワーク」が2016年に考案した。誕生のきっかけは、同ネットワークが活動拠点とする「若宮高齢者会館」(中野区大和町)から、夏祭りの出し物を依頼されたことだった。

 振り付けは、高齢者の介護予防になることを意識し、リハビリの動きも多く取り入れた。作詞を担当した同ネットワークのメンバーの千正英五さん(51)は「ケアマネの仕事について多くの人に知ってもらうと同時に、高齢者が体を動かす機会にもつながってほしいという願いを込めて作った」と振り返る。

収録目指して

 夏祭りの出し物にすぎなかったケアマネ音頭に転機が訪れたのは19年。メンバーの一人が、中野区内で開かれたカラオケ大会でケアマネ音頭を披露しようとしたが、「カラオケで歌える曲だけ」と断られた。

 カラオケに採用してもらうにはどうしたらいいのか。DAMを配信する「第一興商」(東京都品川区)に問い合わせたところ、日本音楽健康協会が主催する音楽イベント「音健アワード」で優秀な成績を収めれば、曲が収録されると教えてもらい、挑戦することになった。

 好成績を狙うため、中野区内で盆踊り大会を主催する鳳蝶美成あげはびじょうさん(41)に、リハビリの動きは残しつつ、見栄えする振り付けに改良を依頼。複数の施設の介護関係者らが踊る様子を撮影した動画を投稿した結果、20年の優秀賞に選出され、同社の高齢者向けのカラオケ配信機器「DKエルダーシステム」での配信が決まった。

 ただ、コロナ禍がなかなか収束せず、カラオケ用のミュージックビデオの撮影は今年1月までかかった。全国の自治体や高齢者施設に設置されているカラオケ機器に配信が始まったのは7月で、現在は約1万台で、ケアマネ音頭を楽しむことができるという。

 ケアマネ音頭は、JR中野駅前にあった複合施設「中野サンプラザ」の7月の閉館イベントでも踊られるなど、披露される機会も増えてきている。また、「ケアマネ音頭普及会」のホームページ=QRコード=に歌や踊っている動画を掲載。隣接する練馬区でも普及会が発足し、草の根でも広がる動きが拡大中だ。

 千正さんは「人手不足など難しい問題を多く抱えるのが今の介護業界。ケアマネ音頭で業界のイメージを少しでも明るくできたらうれしい」と話した。

◆ケアマネジャー=介護サービス利用者や家族から相談を受け、ケアプランを作成する専門職。厚生労働省によると、2022年度のケアマネ試験の受験者数は約5万4000人で、ピーク時の1998年度の約20万7000人と比べると4分の1近くまで減少している。

引用元:BIGLOBEニュース

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。