東京・練馬の保育施設乳児急死 遺族が業過致死容疑で告訴 名前明かし「無念晴らす」
東京都練馬区の認可外保育施設「若草ベビールーム」(現在は閉鎖)で2018年に生後6カ月の男児が急死したことを巡り、男児の両親が2日、記者会見し、70代の女性施設長(当時)を業務上過失致死容疑で警視庁石神井署に告訴したことを明らかにした。同署は受理した。
両親は男児の名前を勇磨ちゃんと明かした。
告訴状などによると、勇磨ちゃんは18年10月3日午後1時半ごろ、施設職員にミルクを飲ませてもらってから寝たが、約30分後にうつぶせ状態で心肺停止になっているのが発見された。搬送先で死亡が確認された。司法解剖で、吐いたミルクの誤飲による窒息死の可能性が高いことが分かったという。両親は、施設側が呼吸状態を細かく確認したり、あおむけに寝かせたりする注意義務を怠ったと主張している。施設は事故翌日に閉鎖された。
施設長は当時、同署に対し「気付いたらベッドでうつぶせになっていた。15分に1度は様子を見る態勢だったが、30分ほど目を離した」と説明していた。
この日の会見はオンライン会議システムが使われ、父親は「息子を失ってから心から笑うこともなく、無念を晴らすことだけを考えてきた。このような事故を起こさず、息子の死が無駄にならないためにも、施設長には相応の処分を受けてほしい」と話した。
両親は勇磨ちゃんを認可保育所に預けられず、事故の約1カ月前に若草ベビールームに入所させたという。施設長は事故後、通夜の会場や両親の自宅を訪れ「申し訳ない」と謝罪したというが、母親は「誠意は感じられなかった」と憤る。
都は19年5月から、検証委員会を開いた。今年3月にまとめた報告書によると、施設は40年にわたり、主に認可保育所に入れなかった子どもの受け皿になってきた。事故当時は19人の児童を3人の職員でみていたが、保育士資格を持っていたのは施設長だけだった。勇磨ちゃんら乳児が寝ていた部屋に職員はおらず、昼食を取るなどしていたという。報告書は「睡眠時の見守りの重要性を理解していない」と指摘した。
施設は数年前から職員数の不足などについて都から繰り返し指導を受けており、報告書は「経営が厳しいことから多くの園児を預かり、保育に無理が生じた」と批判した。
父親は「何度も指導していたのに運営できていたのは問題だ。行政側は、認可外の施設への監査を厳重にしてほしい」とも訴えた。
施設長の代理人弁護士は2日、取材に「告訴内容を確認できておらず、現段階ではコメントは控える」としている。【土江洋範】
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