好きな男性ができたことが原因?……女子高生が仲良しの同級生を刺した「武蔵野音大付属高」の“恋愛トラブル”
「キャー!」
保健室から尋常ではない悲鳴が響き渡ったのは、2月6日12時45分頃のことだった。隣の職員室から男性教諭らが駆け付けると、3年生の女子生徒A子(18)が呆然と立ち尽くし、その傍らでクラスメートのB子さん(18)が、腹から血を流してうずくまるように倒れていた。
◆ ◆ ◆
「殺そうと思ってやった」
「A子は持参した刃渡り約20センチの包丁で、B子さんの左脇腹付近を一突きし、大怪我を負わせた。119番通報からの転送で警察が到着すると、A子が『殺そうと思ってやった』と話したため、そのまま校内で殺人未遂容疑の緊急逮捕に至っている。包丁は床に転がっていた」(捜査関係者)
東京・池袋から西武線急行で50分弱。殺人未遂事件の舞台となった武蔵野音大附属高校は、埼玉県入間市の山中にある。母体の武蔵野音大は、1949年に日本で初めての音楽大学として開設された名門で、幾多の音楽家を輩出。声楽科出身には、歌手の茂森あゆみらがいる。
「昔は資産家令嬢やお坊ちゃんが通うイメージでしたが、今は一般家庭から来る学生、生徒も多くなりました。男女比率は圧倒的に女子が多いです」(OB)
2017年、法人本部のある練馬区に江古田新キャンパスが誕生して以後、大学機能は都心に集約。附属高校は、東京ドーム約9個分という広大な入間キャンパスにポツンと残された。
高校の定員は男女60名だが、現在は1学年約20名にとどまり、全校生徒は60名余。少人数編成で野生動物とも遭遇する自然豊かな環境下、女子生徒間の刃傷沙汰が起きたのだ。
「当事者の2人は非常に仲が良く……」
八木原宗夫副校長が憔悴した様子で語る。
「学年1クラス。少人数なので、イジメなどがあればすぐに分かるのですが、学校として事前に把握しているトラブルは一切ありませんでした。当事者の2人は非常に仲が良く、なぜこんなことが起きたのか、全くわからないんです……」
A子が供述した「恋愛絡みのトラブル」とは?
2人は打楽器を専攻しており、同専攻はあと1人の男子生徒を入れて3人しかいなかった。昨年の学園祭でも一緒に演奏したという。
事件当日、1、2年生は期末テスト、3年生は4時間授業で、4時間目が終わったのは12時40分。その直後、A子は「話がある」とB子さんを保健室に呼び出した。普段、保健室に常駐している養護教諭は、昼食を摂るため職員室に移動しており、A子はその間隙を縫って凶行に及んだのだ。
事情を知る関係者の話。
「A子は千葉県出身で練馬区内の女子寮に住み、B子さんは板橋区から高校に通っていました。A子は細身でかなり神経質なタイプでしたが、B子さんには心を開いていたようです。2人で一緒に遅い時間まで練習したりと常に一緒に行動し、A子にとってB子さんは“特別な存在”だとみられていた。A子は『恋愛絡みのトラブルがあった』と供述しているそうですが、B子さんに好きな男性ができ、A子はそれが許せなかったのではないかと言われています」
幸いにもB子さんの命に別状はなく、搬送時も会話は可能だった。犯人を問われると、苦し気にA子の名前を挙げた。ヴィルトゥオーゾ(一流の演奏家)を目指していたという2人。無二の友に凶刃を突き立てたA子は、抵抗する様子もなく、おとなしく連行されていったという。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年2月20日号)
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