【制作会社】テレビアニメ制作と「中央線」の深すぎる関係 「荻窪」を中心に業界に変化が起きている

アニメ制作会社が多いといわれる中央線沿線。中でも荻窪駅周辺には、ひときわ集中していた。
どうして荻窪なのだろうか? そこで荻窪にスタジオを構える制作会社エイトビットを訪れて、同社のプロデューサーに荻窪とアニメ制作について話を聞いた。そこから見えてきたのは――。


■杉並区と練馬区にアニメ制作会社が集まっている

深夜にテレビをつけると、ちょっと驚くような遅い時間にアニメが放送されているのを見たことはないだろうか。実はここ数年、テレビアニメは一週間に数十作放送されるのが当たり前の状態が続いており、アニメの“主戦場”は、今や深夜枠なのである。

では、そうして日々アニメを送り出しているアニメ制作会社は、日本にいったい、いくつあるのだろうか。

2016年に、日本動画協会が「アニメ制作会社立地調査」を行っている(「アニメ産業レポート2016」一般社団法人日本動画協会)。この調査で対象としたのは、音響制作を除くアニメ制作に関わるあらゆる会社。その数はなんと622社。そのうち141社が、「元請け」と呼ばれる作品制作の主体となる会社で、それ以外は、それぞれの専門分野(作画、3DCGなど)を担う下請け会社となる。

この622社のうち東京に本社があるのは87.1パーセントにあたる542社。そして東京の中でも特に、杉並区(138社)と練馬区(103社)に、アニメ制作会社が集まっている。これを鉄道の路線で見ると、西武池袋線・西武新宿線の沿線と、JR中央線沿いにアニメ制作会社が集中している形になる。

どうしてアニメ制作会社が、特に西武線、中央線沿線に集まっているのか。それはアニメ産業の黎明期までさかのぼる。

西武線沿線に多いのは、西武池袋線の大泉学園駅近くに東映動画(1956年創業、現・東映アニメーション)が、同富士見台駅近くに虫プロダクション(1961年創業)が誕生し、その周辺に関連会社が広がっていたからである。一方、中央線のほうは1964年に南阿佐ヶ谷に東京ムービー(現・トムス・エンタテイメント)が設立されたことがきっかけと言われている。また、1962年設立の竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)も、中央線の国分寺駅から西武国分寺線で2駅離れた鷹の台にスタジオを構えていた。

こうした歴史を背景に持ちつつ、近年、特にまた、アニメ制作会社が集まりつつある地域がある。それが荻窪駅周辺だ。

調べてみると、荻窪駅の徒歩10分圏内に限っただけでも、元請けの制作会社が10社前後も集まっているのである。

その中にはトリガー(「SSSS.GRIDMAN」)、ライデンフィルム(「はねバド!」)、MAPPA(「BANANA FISH」)、WHITE FOX(「シュタインズ・ゲート ゼロ」)といった2018年の話題作を送り出した制作会社が含まれている。つまり、荻窪は今のアニメ業界を支える“心臓部”の1つといっていい地域だ。

今回取材に訪れたエイトビットも、入居しているビルは、駅から徒歩2分ほどの立地。同社は現在放送中の異世界ファンタジー「転生したらスライムだった件」を制作中で、今年は、アニメオリジナル企画の「星合の空」の放送も控えている。

■テレビアニメは夕方から「深夜」へ

日本動画協会が年1回まとめている報告書「アニメ産業レポート2018」によると、2017年に放送されたテレビアニメは340作品。単純計算しても、1週間に60作品近くが放送されていることになる。また分数ベースで見ると2017年には、「深夜アニメ」が全体の53.8パーセントと過半数を占めている。

テレビアニメというと、午後5時ごろから7時台にかけて、再放送なども含めて放送しているもの、というイメージを持っている読者も多いかもしれない。だが、そういう「テレビアニメ」のあり方は、ここ20年ほどの間に過去のものとなってしまっているのである。

かつてはスポンサーの広告費の中で制作されていたアニメだが、今は関連企業が製作委員会を組み、出資分はDVDやBlu-rayの販売などで回収するという仕組みが主流になっている。だから現在の作品数の多さは、「流行している/人気がある」という以上に「作品数が多いとリスクヘッジがしやすい」というビジネス上の理由が大きいのである。このような現在の深夜アニメの時代が始まったのは、1990年代末のことだ。

続きはソースで

東洋経済オンライン

引用元:2NN

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