新型コロナウイルス感染時のホテル療養レポート。もし、あなたが感染したら?

2021年10月1日、何度目かの緊急事態宣言が解除され、
通勤電車など以前のような満員となる光景も戻ってきたと同時に、練馬の飲み屋街などからも赤提灯の灯りが遅くまで点灯するようになりました。
同年8月の末、東京都では感染者数がピークとなり一日5,000人を超える未曾有の事態となり、練馬区でも同時期は検査数4,051人、陽性者数1,057人と、これまでに比べてすぐ近くにコロナウイルスの脅威が迫ってきたと実感したものです。

出典:練馬区 区内感染者数累計ページより

いつになく真面目な冒頭の出だしで戸惑われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はその感染ピーク時期に自分自身が感染してしまい、しばらくホテルと自宅で療養をおこなっていたことをこの場を借りて報告させていただきます。本記事では、ピーク時に感染した自身の体験レポートを踏まえて、次の第6波に備えた、withコロナの過ごし方について書かせていただければと思います。

まず、前提として、喫煙者ではありませんが、禁煙7年目の元ヘビースモーカーです。そして、昨今いわれているようなBMIは標準。基礎疾患はありません。風邪もインフルエンザも10年以上罹ったことはなく、インフルエンザにいたっては予防接種も受けたことがありません。
コロナワクチンに関しては、練馬区は当時、需要に対する供給がおいついておらず、予約も難しい状況ではありましたが、1回目の予約を控えていました。(よって、感染時は未接種です)

■キッカケは息苦しさ。普段と違う呼吸にご注意!

おそらく最も重要と思われるのは、自覚症状。このウイルスの怖いところは、ひとによって症状が異なるという点です。実際、我が家では自分の4日後に妻も発症しましたが、症状は異なるものでした。あくまで自分個人の症状となることを、あらかじめご理解ください。

最初の症状は、呼吸のしづらさでした。
その日はいつもよりも少しだるさがありましたが、マスクをしていると鼻呼吸がいつもより苦しい症状がありました。熱は平熱、それ以外の症状は特にありませんでした。通勤のちょっとした移動でも息苦しさがあったことを自分で記録していました。具体的には、深く呼吸はできるのに酸素が足りない気がする、という程度のものです。“まさかコロナ?考えすぎか”などメモ書きをしていました。

■発症した?気になった症状が出たときの連絡先はどこ?

鼻呼吸による息苦しさを感じた日の翌日、倦怠感が増し、普段はない痰のからまない空咳が出るようになり、軽い頭痛が朝からありました。この時は平熱。この日はテレワークだったため、普段どおり仕事をしていましたが、当日の夜中1時頃、突如として震えるほどの寒気に襲われ目が覚めました。1時間ほど毛布をかぶり、ブルブルと震えながら過ごしたのち、身体が熱を帯びてきたことを実感し、測ると38度。

症状が症状のため気になるも、どこでPCR検査が受けられるのかもわからず、たどりついたのは『東京都発熱相談センター』。かかりつけ医のいない、自分のような健康体だった方が最初に連絡する場所です。電話番号は03-5320-4592。24時間対応なので、まずはここにかけました。
住所を伝えると、近隣でPCR検査が受けられるクリニックを紹介してもらえます。

東京都発熱相談センター

■いざPCR検査。気になる方はこの時点で解熱剤の処方箋を!

センターに紹介してもらったクリニックに朝一で連絡すると、PCR検査の案内が。
正面口は使わず、裏口へ時間通りにくるよう指示があり向かいます。この時、市販の解熱鎮痛剤を飲んでいたため、36.7度ほど。必要な記入を済ませたあと、検査に使う容器を渡され、外(裏口)で対応するよう指示されます。(唾液を一定量入れないといけないため)

PCR検査の結果は最短で2日かかると告げられ、ここから外出制限が適用されます。
この時点では自分の場合は、風邪の可能性を示唆されていましたが、不安な方は解熱鎮痛剤を早めに処方してもらうことをおすすめします。

気になるPCR検査費用は、自己負担の場合、約3万円。
センターからアドバイスがもらえますが、医師が必要と判断した場合は、自己負担はありません。新型コロナの症状(っぽい)ものが出ているか、濃厚接触者の場合、まずはその旨をクリニックに告げましょう。自分の場合、初診料のみで1,700円でした。

■結果は『陽性』!ここからとる行動が大切

検査を受けた日から、ホテルの退所日が決まるまでは、発熱と頭痛が結果的におさまることはありませんでした。
解熱鎮痛時は効くときと効かないときがあり、主には夕方と深夜に悪化するケースが多かったと記憶しています。検査結果が出るまでは「もしかしたら陰性かも」と思っていたこともありましたが、一日経過したあたりで、確実に陽性だろうとカクゴをしていました。
なので、同居家族がいる場合、「かも?」と思った時点で可能な限りの隔離をしておくことを推奨します。

気づけば39℃を越える日々。

検査から2日後の朝、電話で陽性が告げられ、その時点から管轄がクリニックではなく、保健所に切り替わります。保健所からは、“手紙または電話で”連絡がくるので、待つように指示が入ります。同居の家族がいたので、陽性判明した時点でPCR検査を受けるようクリニックに連絡を入れます。この場合、濃厚接触者なので、前述と同じく初診料のみで受けることができます。

保健所からは重症化リスクのある方から優先で電話連絡がくると書かれていたので、手紙を待っていましたが、なぜか翌日に電話連絡があり、ホテル療養に出ることになりました。

練馬区 検査で陽性になった方へ より

■気になる感染源、やっぱり通勤電車?

ホテル療養に移った際、常駐している福祉局の事務員の方からヒアリングがありました。この時点では『陽性』としかわからなかったのですが、後日デルタ株に感染していたことがわかり、あらゆる可能性を考えましたが、デルタ株の潜伏期間(3~5日)から、おそらく通勤時の地下鉄内であることを報告しました。

自分の行動をふりかえっても、会食や飲み会やパーティなどは皆無で、会社と自宅の往復であったためです。また、今思えば、自分が発症中にすることになる、肺の奥からせりあがってくるような咳をしている方が、帰りの電車で隣に座っておられたことを思い出しました。断定はできませんが、時期的にはぴったり一致します。ウレタンマスクだったことも気になって、席を移動したり回避行動はとりましたが、時すでに遅かったのかもしれません。目の粘膜からも感染するとのことで、おそらくそういうことかなと思いました。また、大江戸線は車両幅も狭いので、こもりやすい気がしています。練馬区にお住まいの方で、大江戸線を利用している方は多いはずなので、ご留意ください。

■ホテル療養へ

その時期、ホテルは満員状態で入れない、というニュースを連日放送していたので自宅療養のつもりでしたが、たまたまなのか、池袋のビジネスホテル(練馬から近い)に空きが出たためか、発症から4日目にホテル療養することに決まりました。自宅まで東京都福祉保健局の方が専用のワゴンで迎えにきてくれます。このとき、他にも陽性の同乗者がいることを承諾する必要がありますが、自分も同じなのでお互い様です。
見慣れた景色を、慣れない車で移動し、しばらく見納めになる景色と名残りを惜しみつつ。

ホテルに到着すると、裏口から入館し部屋番号の書かれた封筒を受け取ります。
小池都知事からのメッセージが書かれた用紙や、入所中の案内のほか、酸素飽和度を測るパルスオキシメーターなどが配布されます。ホテル療養中の過ごし方は、原則として以下のスケジュールにそって一日を過ごします。




入所時の封筒には都知事のメッセージが。

6:30 検温・酸素飽和度チェック
8:00 朝食受け取り
12:00 昼食受け取り
15:30 検温・酸素飽和度チェック
18:00 夕食受け取り
※チェック後は専用のシステムへ入力が必要。
※また、陽性者は原則、保健所から実施している、AIによる自動問診(ハーシス)から、毎日9:30頃、14:30頃の二回電話でかかってきますので、別途対応が必要です。

左がSPO2、右が脈拍。高熱時は脈拍が早くなる。

ホテル療養中は、看護師さんとは、内線以外での対面はありません。
また、前日に解熱鎮痛剤を服用していると、上記に追加で2回、検温と酸素飽和度のチェックが必要になり、最後のチェック時間は20:00となります。薬は、あらかじめクリニックで処方されたものか、または市販の解熱鎮痛剤などを服用します。薬がなくなりそうな場合、看護師に相談すれば差し入れてもらうことができます。また、ホテル療養における費用は公費負担となり自費負担はありません。お弁当代なども同様です。

自分に出た発症中の症状は以下です。
・強い頭痛(頭全体)
・高熱(37.8度~40.2度)
・倦怠感
・咳
・痰
・胸の圧迫感(息苦しさ)
・嗅覚、味覚消失

酸素飽和度は通常であれば99~96となります。いわゆる中等症とされる際には、93以下となります。
自分は安定していて平均98でしたが、発症6日目、7日目に94などになり、室内を数歩も歩けないときがありました。貧血のような症状で、しばらく座って回復しました。
咳は頻度は高くなく、1時間にこみあげてくる大きな1回、という感じです。ただし、お隣の部屋からは、一定時間毎に30分ぐらい止まらない咳が聞こえてきましたので、ひとそれぞれで異なるようです。
また、セーフティネットとしては、規定の時間に入力がない、または内線に出ない場合「(部屋に)突入します」と宣告されます。

・参考:Yahooニュース『新型コロナの療養中に測定する、酸素飽和度は何%あれば安心か?

■ホテル療養であったほうがいいもの、差し入れについて

ホテル療養中はもちろん部屋から一歩も外に出ることができません。そのため、ある程度は自宅から必要物資を持ち込む必要があります。替えの下着、服、タオル・バスタオル(備え付けはありません)、歯磨き、ナイトウェアなど。また、自分のように発熱前の寒気がある場合は、毛布の持参をおすすめします。ホテルでは、シーツの交換はありません。また、アメニティもなく石鹸、洗剤、マクラカバーぐらいしか交換ができません。必要に応じて、シャンプーなども持参すると便利です。

食事のバリエーション用にふりかけなども持参される方も多いです。
自分は残念ながら、発症5日目に嗅覚、味覚を完全に消失してしまったため、配布されるお弁当の味もわかりませんでしたが、同じ症状になる方の多くが、塩味だけ微妙に感じるという不思議な状態になるようです。よって、ポカリスエットなどだけ味がわかりますので、粉末ポカリは生命線になる場合があります。

1つも味がわからなかったお弁当

差し入れは、濃厚接触者に当たらなければ家族でも友人でも可能となり、毎日15:00~17:00の間、前日夕方までに事務局に誰が来るかを連絡しておくことで受け付けてもらえます。その際、常温であること、賞味期限など条件があります。アイスノンなどは凍っていない状態(ドラッグストアで購入した状態)ならセーフでした。また、本人との対面はなくホテルの所定の場所で事務局に預けてもらうことになります。

ポカリの差し入れが嬉しい。

■ホテル退所の条件

2021年10月現在、ホテル退所の条件は、前日に解熱剤を服用しない状態で37.5℃以下を保ち、翌日に医師、看護師により認定された日が「症状軽快日」となり、この日から72時間(3日)、解熱剤を飲まずに37.5度以下であることが条件となります。
そのため、症状軽快後に37.5度を越えた場合は、また症状軽快日の認定からになり退所日がずれていくことになります。自分の場合は、発症9日目にようやく「症状軽快日」となり12日目に退所となりました。

退所後は、ホテルから普通に荷物をもって外に出ることができますので、基本的には自力で帰宅することになります。この時のホテル療養証明書を後日、請求することが可能となります。入院保険などを申請する際に必須となります。

■濃厚接触者の発症について

我が家の場合、ホテル入所日の朝にクリニックから電話で、妻の陰性が告げられました。そのため、安心してホテル療養にドナドナされていきましたが、その2日後に38度の発熱が発覚し、再度PCR検査を受けることになり、4日目に陽性が判明。家族間感染が発生したことになります。

本来、濃厚接触者の場合、陽性者との最終接触日から起算して14日間の隔離が必要となりますが、これによって2人とも陽性に。熱の症状が自分よりも軽かったため、自宅療養となりましたが妻の場合は自分とは逆に、かなり保健所からの対応に不満があったケースとなります。

連絡は予想通り“手紙”ですが、これも発症から5日目ぐらいに届くことになりました。
軽症とはいえ、39度近い熱、頭痛、倦怠感、関節痛、胸の痛み(うつぶせで楽になる)など、諸症状がありましたが、自分がホテル入所中で出られないため不安な日々を過ごしたようです。もちろん、感染者数もピークの頃で、保健所の方々も連日連夜大変なご苦労をされていたと思いますので、胸にしまっていますが、もっとも残念だったのは、当時、自宅療養者には一週間分の食糧などの支援物資が配布されていました。

まてどくらせど、支援物資がこないので仕方なく遠方に住む親族に送ってもらうことに。これを後から保健所にお聞きしたところ、当時の東京都の感染数ピークの問題で物資が底をつきてしまったため、中断していたと謝罪を受けました。どこも大変な時期だったんだなと、あらためて医療崩壊の怖さを実感したエピソードです。

自分がホテル退所になった日、妻が発症6日目でしたが、同じデルタ株であれば家族間は濃厚接触者とみなさない、と保健所の方から確認しています。そのため、安心して我が家に戻ることができました。

■退所後と後遺症

ホテル退所時、後遺症に関する用紙を渡されます。
“まだ判明はしていないが、後遺症はどの年代でも認められている”、という内容と、後遺症相談窓口を開設している病院の一覧が書かれていました。これもまたひとによるところが大きいため、参考程度ですが、自分の場合、退所後2週間ほど経過しても、微熱(37度~37.4度)が続きました。また、咳にいたってはこれを執筆中の現在一か月が経過していますが、まだ続いています。市販の咳止め薬はあまり効果ありません。痰がからまない咳ですが発症中よりも頻度が増しています。味覚はほぼ元通りになり、食の楽しみも戻りました。個人的にはこれがもっとも嬉しいです。嗅覚だけ一か月ぐらい引きずりましたが、現在はほぼ元通りです。

ワイドショーなどでいわれているような、ブレインフォグや、記憶力低下などが起きないよう祈るしかありません。

■ワクチン接種について

冒頭の前提条件で述べたとおり、自分は“打ちたいけど予約がとれなかった勢”となり、発症の4日後に1回目(ファイザー)を予定していました。ひとそれぞれ打たない自由もありますが、自分は打ちたかったので、もし打っていればもっと症状が軽かったかもしれなければ、無症状だったかもしれないと思うと残念で仕方ありません。

練馬区も現在は供給がおいついたようで、各所で集団接種などが進んでおります。
保健所からは、陽性者は療養終了日から4週間開けるよう指示があったため、今月にあらためて夫婦で1回目(モデルナ)を打つ予定となります。

https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/hoken/kansensho/2019-nCoV/vaccination_covid/sesshuyoyaku.html

まとめ

37.5度以上の発熱がなくなりホテル退所後、しばらく衰弱したカラダの調子を戻すため、会社を病欠して自宅療養をおこなっていました。こうして一か月経過した現在、自分も妻も後遺症もほとんどなく無事に仕事に復帰していますが、晴れ晴れとはしない気分であることが共通項としてあります。

というのも、他の特効薬のある病気とは異なり、“また別の株に感染する可能性がある”のがコロナウイルスとなるので、今回はたまたま運がよかっただけで、次に感染したときには命の保証がありません。なので、これからのwithコロナの生活を考えると、どうしても晴れ晴れとはしない気分です。自分や妻を含む80%が軽症、15%が中等症、そして5%は重症化。
この確率、高いとみるか低いとみるか、一目瞭然です。
緊急事態宣言は解除されましたが、くれぐれも感染しない、させない努力は怠らずに日々を平穏に過ごしていくことが大事だと思います。

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