母の日に初日を迎えた大相撲5月場所。横綱・照ノ富士が復帰、大関・貴景勝はカド番、関脇・霧馬山は大関取り。横綱・大関・4関脇は白星発進!

2023年5月14日、大相撲5月場所が東京・両国国技館で始まりました。横綱・照ノ富士は、4場所休場からの復帰。みどころの多い場所となりそうです。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

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前回「大相撲春場所、新関脇・霧馬山が入門8年目で逆転の初優勝!優勝決定戦で物言いがついた波乱連続の春場所。


小結・大栄翔の突き押しパワー効かず」はこちら

一緒に土俵入りができて感激

大相撲夏場所が東京・両国国技館で始まった。見どころが多すぎて、弱い頭脳が期待と不安でパンクしそうだ。
1横綱1大関は、今年初場所で125年ぶりとなったが、二人が土俵で揃うのはこの夏場所が初めてとなる。

横綱・照ノ富士は、昨年秋場所の途中から古傷の両膝を痛め、糖尿病も悪化して4場所休場して復帰。私はいつもテレビの前で横綱の土俵入りを一緒にして、横綱の調子をみているが、照ノ富士の調子をみるよりも、一緒に土俵入りができて感激して目頭が熱くなった。私は4月に70歳になり、土俵入りの真似で多少ふらついたのは年齢のせいにしておいた。

初日の照ノ富士は、元大関の小結・正代に押されたものの土俵際ですくい投げをうって勝った。
大関・貴景勝は先場所横綱昇進をかけていたが、左膝を痛めて途中休場し、今場所カド番だ。初日は前頭筆頭・阿炎を押し出した。しかし、左膝が悪いのかと思ったら、土俵を降りる時には、右足もかばっているようで心配だ。

初日の14日は「母の日」なので、92歳で亡くなった母が大好きだった大相撲の雑誌とコカ・コーラを仏壇の前に置き、照ノ富士の優勝、貴景勝のカド番脱出、4関脇の活躍と新大関誕生を祈った。母はなぜか80歳を越えたらコカ・コーラが大好きになり、近くのコンビニで買い、冷蔵庫にいつも蓄えていた。

そして、思い出した。私の母と祖父は、東京大空襲で家が全焼するまで、相撲部屋が周りにあり、道を歩けば力士に会うところに住んでいて、国技館にもよく行く大相撲ファンだった。その二人が「目じりがキリリと上がっていないと大関や横綱になれない」と話していたのだ。

牛の背中

見て分かりやすい力士は、横綱・稀勢の里(現二所ノ関親方)で、目じりが上がっている。
関脇・霧馬山の目はぱっちりしていて明るい印象。大関になれるだろうか?先場所12勝3敗で決定戦により逆転優勝、先々場所11勝4敗。今場所2桁勝って、大関昇進ラインの33勝となるかが見どころだ。

初日、霧馬山は前頭筆頭・翠富士に肩透かしで勝ったが、正面解説の舞の海さんも向正面解説の西岩親方(元関脇・若の里)も「自分の方にまっすぐに引いて危ない」と指摘していた。
まっすぐに引くと、自分の方に相手を呼び込み、自分が後ろに下がって土俵際になってしまう。
横にいなすなら自分が下がらなくて良いのだ。

大関取りを意識すると緊張もあり心配だと思った。
しかし、私は場所前に相撲雑誌を必ず読むのだが、夏場所展望号の『相撲』(ベースボール・マガジン社発行)の霧馬山のインタビューを思い出し、心配が消えた。子供の頃の思い出を引用させてもらうと「自分は子牛や牛も勝手に捕まえてその背中に乗ったりして、祖父母によく叱られました」とあった。これによって体幹が鍛えられたかもしれないそうだ。

皆さん、牛の背中に乗りたいと思いますか?
私は子供の頃、中野区のはずれに住んでいて、近所に牧場があった。友達と牛をのんびりと眺めていたが、誰も牛の背中に乗ることなど考えなかった。相撲部屋の親方がスカウトに来ないかと思うほど、体格の良い男の子がいたが、牛に乗りたいとは言わなかった。私もその男の子も、乗るとしたら隣の練馬区にある今はなき遊園地の豊島園の回転木馬だった。そして、笑顔の両親に回転木馬から手を振っていた。

霧馬山の対戦相手は、このことを知らないほうがよい。対戦相手が回転木馬派だったら、「この人、牛に乗れるのだ」と考え、気持ちで負けてしまう。ましてや霧馬山は4月24日生まれで牡牛座だぞ(これは関係ないか)。本来なら力士なので「霧島山関」と言うが、大尊敬から「様」をつけたい。霧馬山様、どうぞその体幹を活かして、大関でも横綱でも好きなようになってください。

相撲から人生を学んできた

関脇・大栄翔は、霧馬山に先場所優勝決定戦で逆転されたが、その悔しさをばねにして、大活躍してほしい。初日の大栄翔は、前頭3枚目・錦富士を押し出した。
初日は、いつも北の富士さんと舞の海さんの解説の攻防を楽しみにしていたが、NHKテレビ実況の佐藤洋之アナウンサーが、「都合により北の富士さんはお休みです」と報告した。その美声での詳しい説明はなかったが、先場所も解説を休場していたので心配である。

そして、残念なのが、前頭2枚目・高安が初日の稽古で怪我をして休場したこと。対戦相手の関脇・豊昇龍は不戦勝となった。さらに、若元春が関脇に昇進して嬉しいが、関脇だった弟の若隆景が先場所の取組で膝を怪我して、小結に番付を落として休場したことが悲しい。若隆景の復帰を祈るばかりである。

若元春の初日の対戦相手は美相撲を取る前頭2枚目・遠藤。最近の相撲は、押し相撲が多いので、「キャー、本格派の四つ相撲だ」と喜んだ。上手投げで若元春が勝ったが、もっと攻防が見たかった。若元春様、遠藤様、四つ相撲に飢えているので、今後もお願いします。

コロナ禍の日本相撲協会のコンプライアンス違反で出場停止になり、大関から三段目まで陥落し、9場所ぶりの再入幕となった前頭14枚目・朝乃山にも目が離せない。初日の朝乃山は圧倒的な強さで前頭13枚目・千代翔馬を寄り切った。勝ち続けると朝乃山は上位力士と当たることになる。元大関同士の正代との対戦が見たい。
興奮しながら見ていたら、肩こりがひどくなってきた。知り合いの鍼灸師の先生が教えてくれた呼吸法をしながら見ることにした。

私は勝敗だけでなく、相撲から人生を学んできた。3歳くらいから相撲は見ていたが、悩み多き中学生時代に大相撲をテレビで見ていて、「土俵の上には人生がある」と確信した。期待された力士が怪我で挫折する。小さな体でも巨漢を倒して優勝する。人気力士でも力士生命が終わる時が来る。このドラマチックな大相撲を見ない人生は絶対に後悔すると思いながら、70年生きてきた自分は、いったい何者なのかと思う今日この頃である。

※「しろぼしマーサ」誕生のきっかけとなった読者体験手記「初代若乃花に魅せられ相撲ファン歴60年。来世こそ男に生まれ変わって大横綱になりたい」はこちら

引用元:BIGLOBEニュース

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