10万円オンライン申請→なぜか窓口混雑 マイナンバーカードの本当の「課題」が見えてきた
新型コロナウイルスの経済政策として、一律10万円が支給される「特別定額給付金」の申請が始まった。
早い自治体では2020年5月1日から、オンライン申請受付が始まった。マイナンバーカードで、政府の「マイナポータル」から申請する仕組みだが、ゴールデンウィークを挟んだ数日間で「大きな課題」が見えてきた。
確定申告よりは楽な印象
筆者は5月7日、iPhone 11を使って申請した。
まずマイナポータル用のスマホアプリ「マイナポータルAP」を開き、「ぴったりサービス」から市区町村を選択し、「特別定額給付金」の項目へ。申請環境が整っているか確認した上で、連絡先の記入に移る。手入力に加え、マイナンバーカードからの読取りも可能だが、氏名のふりがな(カタカナ)などは別途入力しなければならない。
受給者や受取口座情報を入力の上、通帳やキャッシュカード、ネットバンキングの画面など、口座番号やカナ氏名等が確認できる画像をアップロードする。そして、署名用電子証明書パスワードを入力すれば、手続きは完了となる。
筆者の場合は、十数分で作業を終えた。今春に確定申告を行ったときと比べると、マイナポータルのみで完結するぶん、国税庁のe-Taxサービスと行き来するそれよりも、かなり楽な印象を受けた。しかし、ネット上の反応を見る限り、上手く申請できなかったとの声もみられる。
ゴールデンウィーク開けの7日には、自治体窓口に申請やパスワード再登録待ちの列ができたとの報告が相次いだ。また、電子証明書の期限が切れていて、窓口に駆け込んだとのツイートもあった。いずれもオンラインでは手続きできず、窓口へ出向く必要があるからだ。
「自治体窓口ありき」の問題点
東京都練馬区は5月7日、電子証明書を管理するJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のシステムにアクセスが集中したため、多くの市区町村窓口で処理できなくなったとして、この日の全区民事務所での電子証明書の新規発行、更新、パスワード再登録を中止した。また東京都北区も同日、混雑で2時間以上待つ状況や、J-LISサーバーの不安定さを理由に、電子証明書の更新等は一旦カードを預かり、後日、本人限定郵便で返送すると発表した(いずれも区公式サイト発表)。
手続きが簡略化され、受給が迅速になるにしても、現在のカード普及率(15.5%、3月1日現在)では、恩恵を受ける人は限られている。自治体によっては、申請書配布を待たず、フォーマットを公式サイトからダウンロードして、自宅で印刷できるようにしているところもある。「密」を避けるためには、オンライン申請より、むしろこちらを政府として推進するのも手だったのではないか。
今後の政策を考えると、どこかでマイナンバーカードの活用例を作っておく必要があるのだろう。今回の経験が「窓口ありき」の現状を見直すきっかけとならない限り、定額給付金へのマイナンバーカード利用こそ「不要不急」だったのでは、と皮肉られかねない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)
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