練馬区のお肉から考える救済の優先順位

はじめに

小学校の給食というのは基本的にまずかった思いでしかない。例えばレバー(肝臓)。栄養素的には上位なのか野生の獣も優先的食べる部位だ。焼肉屋で食べるときには問題ない。ところが学校の給食で振る舞われた時にはとてもまずかった印象がある。黒ずんだ紫色の見た目と苦い薬のような味がした。


令和時代の給食では高級和牛がでるらしい

2021年の1月27日の小・中学校では高級なお肉を使った給食が振る舞われた。練馬区プレスリリースによると次のようなメニューだった。

・和風ソースステーキ(大泉北中学校)
・牛丼(南町小学校)
・ビーフシチュー(開進第四中学区)

これは新型コロナウイルス対策の一環だったりする。

畜産業界を優先したことは間違っているのか?

新型コロナウイルスによる外出自粛により外食産業は経済的に大きなダメージを追っている。2020年4月から6月の売上は大手外食産業でも7割が赤字になった。

・ガストやジョナサンを運営するスカイラークホールディングスは191億円の赤字
・すき家を運勢するゼンショーホールディングスは63億円の赤字
・スシローグローバルホールデングスは8億円の赤字

外食産業と国防は関連している

今後も外食が控えられることは想像できる。となるとその材料を提供している日本の畜産業界にも悪影響が出る。「食料安全保障」という言葉があるように食料自給率は国防と関連している。

日本の平成30年度の食料自給率はカロリーベースでは37%、生産額ベースでは45%と諸外国と比べてかなり低い。これでは食料を輸入している国が大規模な自然災害にあってしまい、食料を輸入できなくなった場合に国民が飢えることになる。

そうならないために日本政府は食料自給率を上昇させる計画を実施しており、令和2年度の食料自給率はカロリーベースで45%、生産額ベースで75%を目標としている。

「お肉券」に反対する人々

特に日本の食肉では松阪牛、神戸ビーフ、熊本黒毛和牛などのブランド牛が有名で一部は輸出もされているためそれらを生産する畜産農家の保護も必須と言える。そこで畜産農家の保護、食料自給率の増加、さらに食料不足による外国からの侵略のすきを与えないようにするための国防力の増加も兼ねて「お肉券」を導入しようとしたが、様々な批判が出てきた。

筆者が調べたところによると、

SNS「大勢の国民が苦しむなか、特定の団体や産業を優遇するのはいかがなものか?」「税金と票を交換するやり方はダメ!」

練馬区の議員「多くの人が苦しんでいるのに、なぜ特定の団体や業界だけ支援するのでしょうか?例えば「住居確保給付金」申請数は3300件、申請者の8割が20代から40代です。」

ブロガー「困っている生産者は和牛業者だけではないはず。去年は困窮していた子供への対策がなかったのに国、政府の思惑、偏りを感じずにいられれません。」

政府はこれらの批判に耳を傾けて、お肉券ではなく和牛給食に変更することにした。東京都では2021年の1月~2月に補助金を使った学校給食提供事業として実施することを決定した。練馬区でもこの事業を用いて小・中学校で和牛肉を出すことにしたという経緯がある。

弱者を優先しても根本的な対処にはならない

例えば次のような出来事がある。ある日本人のNGO団体がアフリカで井戸を作った。それまで飲んでいるのは土で汚れている泥水しかなく、喉の乾きを癒すたびに下痢をすることを繰り返していたからだ。

井戸を作った村ではきれいな水を飲むことができるようになったので下痢の症状も出なくなり、乳幼児の生存率も大幅に上がった。しかし、NGOスタッフが現地から去っててしばらくすると、問題が発生した。井戸を作ったA村の隣の井戸のないB村から「お前のところだけきれいな水が飲めてずるい。こっちは今でも下痢で苦しんでいるのに」と井戸を壊してしまったのだ。せっかくの井戸を壊されたA村の人は怒りに狂ってB村と闘争にまで発展した。

また、アフリカのとあるC村ではNGOからバイオ燃料になる植物を育てる方法を教わった。それなりに成果が出て村の貧しさが少しばかり緩和された。やがてNGOのスタッフも任期を終えて帰国すると、周囲のいまだに貧しいD村の人々は「自分たちだけ裕福になってずるい」とその畑を荒した。それを止めようとした人たちと争いになりいくところまで行ってしまった。

経済的に貧しい人達を助けたらその人達は少し裕福になった。そうしたら、これまで同じぐらい貧しかった隣人が怒り狂い、裕福にしてくれた富の源泉を破壊し尽くしてしまった。本当に経済的に貧しい人を助けることが正しいのだろうか?

もちろん、NGOの人たちがアフリカの貧しい村の全てに井戸をバイオ燃料になる植物の育て方を教えて面倒を見てあげれば不毛な争いは起こらなかっただろう。だが、誰も無償でボランティアを続けることはできない。自分は無償でボランティアをしているからと大家さんは家賃をタダにしてくれないし、近所のスーパーでもレジ袋は有料のままだ。

畜産業界を優先したのはベターな判断だと思う

だから、票につながろうが一部の業界だろうが、助ける優先順位の付け方は最適ではなくても政府は今の方針を続けていくほうが良いと思う。もちろん最適なのは困ってい人を同じタイミングで援助することだろうが、それでも金額が不十分であると必ず不満の声が生まれるだろう。例えば飲食業と水商売を同じ金額だけ援助した場合、個人の飲食店なら1日6万円は十分な補助でも、個人経営のクラブでは大した足しにはならないだろう。

仮に分配金を決める組織が商店街の偉い人だった場合はどうだろうか?分配金をもらえなかった店の人たちが集団で偉い人の家の前の道路で寝っ転がって道を塞いで嫌がらせをするかもしれない。偉い人は説得を試みるだろう。それが駄目なら、分配金の割り当てを道路に寝っ転がっていた人に優先的に割り当てるしかない。だが、そうするとこれまで分配金を優先していた人からクレームが入り、その人たちも集団で道路に寝転がって…というように商店街は機能不全に陥るだろう。

でも政府のような日本でも最も権力を持つ組織なら精々悪口を言う言う止まりだ。政策を決めている人が暴行を受けたり刺されたりすることもない。なぜなら、政策を決めている人は複数人で国会周辺は厳重に警備され権力もお金も持っているので攻撃すると反撃で痛い目を見ることが明らかだからだ。

まとめ

畜産業界から優先的に助ける方針は国防を維持するためにも、町民間でのいざこざを防ぐという意味で正しい。

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