辛いはずなのに辛くない?こだわりの天然かんすい自家製麺で作る辛味噌ラーメンが絶品の江古田にある一心軒

今回伺ったのは西武池袋線江古田から徒歩2分のところにある「一心軒」。
学生の街と言われ、入れ替わりの激しい江古田のラーメン激戦区において15年間続いているお店にお邪魔してみた。

ラーメン屋という店の名前が入り口前に大きく出ているところが多いが、こちらは表札サイズで小さく「一心」と書かれているのみ。ラーメンメニューが出ていなければ通り過ぎてしまいそうな店構え。

お店に入ると、そこには、カウンターとゆったりとしたテーブル席を含めて全部で12席。




早速マスターにおすすめメニューを聞いてみると、
「その赤いところの辛味噌らあめんがおすすめですよ」

「辛味噌…?」
確かに券売機のそこには「おすすめ」シールが貼ってある。
そうか、一心軒さんのおすすめは辛味噌だったのか。
不覚だった…。

何を隠そう筆者は辛い物が大の苦手。
カレーも甘口派。
いや、正確に言うと甘口ではないと食べることが出来ないだけで甘口派でもなんでもない。

実は僕は辛い物が苦手なんです…。
なので他のおすすめは?
なんて今さら言えず。

勢いに任せて千円札を券売機に投入。
そして煌々と赤色に輝く「辛味噌らあめん」をポチっとしましたよ!多少震えながらね。
麺は大盛無料であったが、まず辛いラーメンが食べられるか不安で普通サイズをいただくことに。

そこからマスターは黙々と一杯のラーメンに向き合う。

ボフッというバーナーの音とともにチャーシューを炙り、手際よく泡だて器でスープをかき混ぜ、麺、もやし、チャーシュー、メンマ、ネギの順に盛り付け、最後に海苔をのせて出てきたラーメンから薫るいい匂い。

匂いはいいけど、辛いんだろうなぁと思いながら、まずはスープからとレンゲでスープをすくいおそるおそる一口いただくと、トロリとしたスープにピリっとした辛味噌の感じが口の中に広がる。

次の瞬間、
「あれっ?辛くない…。」
そんな感覚に襲われる。いや、実際にはきちんとピリ辛であり、口の中に意識をやると確かに辛さを感じる。しかし、ピリ辛でも辛さだけを尖らした感じは一切なく、雑味がない。

辛さの中の旨味を目一杯拾い集めたような感じで辛い物が苦手な筆者でも、「イケる!うまい!」と感じて前を見るとマスターと目があう。
そして、
「辛くないでしょ?」

「はい。」
にっこりした店主は、辛みを抑えて唐辛子の風味を最大限に引き出したことにスープであることを説明してくれた。
「唐辛子はビタミンやβカロテンの栄養価が高いから免疫アップにもなるしね」
大盛にしとけばよかった。
少し後悔。

そして麺。
これは実際に食べるとわかるが、箸をスープに入れて麺をすくった瞬間にわかる重量感。
質量が多いというか、太さは多少太めではあるが明らかにこれまで食べてきた麺と重さが違うのだ。
ズシーンとくる重量感なのだ。

話は遡り、マスターがまだ20代前半だったころ、自分探しをするために海外や離島を放浪し、23歳の時にラーメン屋をやろうと4年で実に10店舗以上を修行のために巡る。

その修行をしていたある時、うっかり麺を外気に触れるところにそのまま出して帰ってしまう。そのまま、1週間近く放置したある日、麺を出しっぱなしにしていたことに気づいて慌ててみてみると、麺に傷みが感じられなかった。
自分で食べることを最優先に考えた時、防腐剤も入っていないものを食べたいと自分で麺をつくることを決め、麺づくりに打ち込むこととなった。

そう実はこの「一心軒」最大の特徴は、自家製麺であること。
それも天然かんすいで作る麺なのだ。
かんすいとは、風味や独特のコシをつくるために使用されるもので、現在では化学合成されたもので作られているが、一心軒は天然のかんすいで麺をつくっている。
たしかにコシが他の麺よりも強く、ゴツい感じを受けるが、そのゴツさがまた辛味噌スープにあっており、旨さを増しているのである。

こうして辛い物が一切苦手な筆者の前に「美味しさを味わいながら食べられる」という道が切り開かれたのだった。

しかし、この一心軒。メニューが多い。

どうしてこんなにもメニューが多いのか…。

開店当初は、
「あっさりとした醤油ベースのラーメン一本でいくんだ」
と意気込んでいたマスター。

しかし、お客さんから「もっとこってりしたものがいい」「もっと別の味が食べたい」と言われリクエストに応えているうちに今のメニュー数になったとか。

「本当は二種類くらいが(仕事量的に)いいんだけど、メニュー数を広げている分キツくて…」というマスター。
昼は奥様が厨房に出るが、夜の時間帯はマスター一人でこなす。
確かにこれだけのメニューをこなすのは大変だ。

「お店って受け身なんですよ。お客さんが来てくれないと成り立たないから。だから応えられることは応えたいなって。」

我が道を行くのは麺へのこだわり。
あとは、できるだけお客さんに寄り添った店づくりをしていきたい。

一心軒はお客さんの求めるラーメン店であるために、お客さんのリクエストに応えながら進化を続けるラーメン店であった。

最後に…、
辛いものが苦手な筆者に辛味噌のうまさを教えてくれてありがとうございました!

店舗情報
店舗名:一心軒
定休日:日曜・祝日
営業時間:11:30~15:00 17:00~21:00
住所: 東京都練馬区旭丘1-77-15 中央ビル別館 1F
アクセス: 西武池袋線江古田駅 徒歩2分

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