【江古田駅】江古田の夜を照らす光 「羅毘徒軒(らびっと軒)」
作り続けて41年
夕方の18時半頃。
江古田駅を降り、南長崎通りを東長崎駅の方に進んでいくと、駅前の賑やかな灯りも少なくなり、道を照らす灯りは住宅と街頭だけ。
そんな中、黄色と赤の明るい光がぱぁっと目に飛び込みます。一目で「ここだ!」とわかる鮮やかな光。
これが、今回お目当てのラーメン屋「羅毘徒軒(らびっと軒)」
本当はお店の開店時間は19時からなのですが、取材の為に18時半からお店を開けてくださいました。
そんな優しい店主の堀込利徳さんは今年69歳。41年間、1人でずっとお店を切り盛りされているんだそうです。
もともと、日本料理屋で修行しており、その後、1980年に「羅毘徒軒(らびっと軒)」をこの場所にオープン。改装等も1度されていないとのことで、お店の所々に41年の歴史を感じさせます。
店内はL字型のカウンターで本来は12席なのですが、それも今はコロナの影響で使用できるのは6席のみ。店奥の頭上にあるテレビがBGM代わりになっていて、昔懐かしい昭和のラーメン屋さん雰囲気になんとも言えない心地よさを感じます。
卓上には胡椒やニンニクの調味料だけが置いてあり、メニューは壁に貼られてるだけと至ってシルプルなのですが、よーく店内を見渡すと所々に堀込さんの茶目っ気さが溢れています。
「なんで羅毘徒軒って店名なのですか?」と聞くと、とにかくインパクトのある名前にしたかったそう。確かに「羅毘徒軒」の文字に、黄色と赤の看板。「今はこんな名前珍しくないかもしれないけど」なんておっしゃっていましたが、現在もインパクト大!それが41年前からなのだから、相当斬新な店名です。ちなみに、当時、区役所にはこの漢字での登録が出来なかったらしく、正式名称は「らびっと軒」なんだよと教えてくれました。
そんな「羅毘徒軒」の営業時間は19時から本来は翌日の4時まで。(今はコロナ自粛等の為、翌日の2時まで。)深夜営業ということもあり、緊急事態宣言中はお店を閉めていたそうです。10月からは18時から21時までと短い営業時間で開けてみたものの「何十年も19時から開けているから、18時にお店を開けてても19時まで誰も来ないんだよね。」なんて話をしていたら、お客さんがご来店。その時間、まさしく19時!!そして、あっという間に店内はいっぱいに。
お客さんに「羅毘徒軒=19時開店」が染みついていらっしゃるんだなぁと身をもって実感。すると、皆さん、迷うことなくすぐにオーダーしていきます。
どのお客さんも頼むのが人気NO.1の味噌ラーメン…と餃子!
この餃子が350円という安さなのに、めちゃくちゃ大きいんです!機械でなく、大きな鉄鍋で蒸し焼きにして出される餃子を目で追いながらも、「今日はラーメン!」と私もお客さんに遅れまじと「味噌ラーメン(650円)」をオーダー。そして、オーダーが入ると堀込さんはさっきまでの穏やかな雰囲気から一転、寡黙な職人へと様変わり。
一気に大量のオーダーをこなすその動きは全く無駄がありません。もう、次に何をするか体に染みついているのがわかります。大きな鉄鍋にお湯を沸かし、そこで麺を湯がいて平皿で掬う。こういう風景、ホント見なくなったよなぁとしみじみ感じながらも、手際よく作られていくラーメンたち。
人気NO.1の味噌ラーメン
目の前に出てきた味噌ラーメンは野菜たっぷり。これに、野菜大盛りのトッピングもあるのだから、それをしたらどうなるのだろうなんて思いながらスープを一口。
甘めの優しい味噌の味わいが口いっぱいに広がります。コクがしっかりあるのにくどくないさらりとしたスープは、身体中に染み渡ります。優しくてホッとする味。
そのスープの中には喉越しの良い中太ちぢれ麺、その上の野菜炒めはもやしとにら、にんじんにキクラゲにひき肉と、量だけでなく種類も豊富。
また、この野菜炒めが美味しいんです。
「どうやって炒めたらこんなにもやしがシャキシャキにできるの?」ってぐらい食感がよくて、スープと麺との相性もバッチリ!
手作りのチャーシューは豚肩ロースを使用しており、赤身と脂のバランスがよく、柔らかくてジューシー。気がついたらラーメンを黙々と啜り続けていました。
「食材とか、こだわっていることとかあるんですか?」と聞くと「そんなの、全然ないよ。」なんておっしゃる堀込さんですが、いえいえ、とんでもない。人気ラーメンの味噌もネギもどこの物を使っているか、ちゃんとわかるようにしていたり、なによりも一口ススれば聞かずとも、堀込さんのラーメンに対する愛情が伝わってきます。
江古田の灯台
お客さんに「今日は取材で来ていて…」とお話しすると、「入れなくなるぐらい混むのは嫌だけど、たくさん宣伝して」と言っていただいたり、お店が混んでくると皆さん、「食べたらすぐ帰るから」なんて声を掛け合ったり、お店自体があったかい場所。堀込さんも「マスター」なんて呼ばれてて、常連さんから愛されているのが伺えました。
お店にお伺いする前は、「どうして夜しか営業していないんだろう」と勝手ながら不思議に思っていたのですが、堀込さんの作るラーメンは、シンプルに美味しくて1日頑張った自分を労ってくれる「夜に食べたくなるラーメン」なんです。
仕事で疲れて帰って来た時とか、静かな街中にあの灯りが燦々と灯っていると、「今日も帰って来てたんだな」と思わず嬉しくなる、江古田の灯台のような存在。
そして、「羅毘徒軒」の味噌ラーメンを食べてホッと一息つけば、また明日も頑張れる。
堀込さんは来年70歳で「もうあと何年も出来ないかなぁ」なんておっしゃっていましたが、お身体がお元気なうちは、夜の江古田の街を明るく照らしていて欲しい。
ご馳走さまでした。
営業時間:19:00〜翌日4:00
(現在はコロナ自粛等の為、翌日2:00)
定休日: 日曜日
住所: 東京都練馬区旭丘1-13-9
アクセス: 西武池袋線「江古田駅」より徒歩10分・都営大江戸線「新江古田駅」より徒歩8分
コメント ( 1 )
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寒いから今日行ってみよっ。