武蔵関の老舗「味よし」の激安とんかつ定食

庶民の味方!激安とんかつ定食

シンプルなとんかつが無性に食べたくなった。
私はこういうのを“突発的食べ物”と呼ぶのだが、その日はどうしてもとんかつ屋のとんかつが食べたくなったのだ。
というわけで、以前から気になっていたけど実は一度も訪れたことがなかった武蔵関の老舗とんかつ屋『味よし』に足を運んでみることにした。

“とんかつ”という言葉を聞くと、私は小学生の時に読んだ漫画『美味しんぼ』の“トンカツ慕情”を思い出してしまう。

 ©雁屋哲・花咲アキラ/小学館




©雁屋哲・花咲アキラ/小学館

スリに遭遇し一文無しになってしまった青年にとんかつを振舞う店主。
おかみが「いっぱい勉強して偉くなってね」と、声をかけるのだが、
店主は「人間、そんなに偉くなることはねえ。ちょうどいいってものがある。
トンカツをいつでも食えるくらいになりな。それが、人間偉過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってことだ」と。

BC『美味しんぼ』11巻 第五話「トンカツ慕情」

BC『美味しんぼ』11巻 第五話「トンカツ慕情」

私の幼心にもこの言葉がやけに胸に残って、そんな大人になれたらいいなとずっと思っていた。贅沢過ぎるわけではないとんかつ。

今の私はとんかつを好きな時に食べられる大人になったのだろうか。

そんな想いを胸に武蔵関南口の商店街を歩く。
平日でもそれなりの人が行き来する商店街だ。

十字路を右に曲がると、『味よし』は姿を現す。

昔ながらの佇まい。

昔ながらの佇まい。

引き戸を開けると、思ったより広い空間が広がっていた。
カウンターが5席にお座敷テーブルが4卓といったところだろうか。

平日の12時半ぐらいに訪れたのだが、カウンターは既に満席でお座敷にどうぞと案内された。
ひとりで4人席に座ることに申し訳ない気持ちになったが、靴を脱いで寛げるのは有難い。温かいお茶も出てきてほっとする。

その日のお客は私の他に5名いたのだが、みんなひとりで来ていて黙々と食している。

まず驚いたのがそのメニューの種類の豊富さ。
とんかつやフライだけでも何種類もあって、生姜焼き定食やジャンボチキンカツといったものもある。

しかし、私が注文するのはオーソドックスなとんかつ定食。
770円が→690円に値下がっていて、これは破格だと感じた。
700円以下でとんかつ定食を食べさせてくれるお店が、果たして今の東京にどれだけあるのだろうか。

この驚きの安さで一体どんなとんかつを食べさせてくれるのかと、楽しみになってきた。
10分ほどして、とんかつ定食は運ばれてきた。

味よしのとんかつ定食 690円

見た感じはよくあるとんかつ定食。
肉は90グラムということだが、衣のせいかそれなりのボリュームに感じる。

私はまずはソースをかけないで頂く派だ。とんかつの味をシンプルに楽しむため。
レモンを絞って食べる。

真ん中の美味しそうなところから頂きます。

カラッと揚がったとんかつの一口目というのは、どうしてこうも幸せな気持ちに包まれるのだろうか。
ロース肉の持つしっかりとした味わい、程よい甘さと脂身が口の中でジュワッと広がる。

衣も厚すぎずヘルシーで私は好きだ。ロース肉の甘みと相性がぴったり。
次はとんかつソースをかけて食べるとしよう。

なぜか懐かしい気持ちになる。
とんかつには醤油ではなくて、ソースの飾り気のない優しい甘みの方が豊かな味にしてくれると私は思う。

そしてキャベツにもソース。とんかつ定食にはドレッシングではなくシンプルにソースが一番。

付け合わせの大根を食べる。

きゅうりも入った塩もみ。パリパリとしていて美味しい。
箸休めにちょうどよく、とんかつの脂っぽさを流してくれる。

そして、ピンク色に染まった大根おろしが添えられていたので、とんかつにつけて食べてみた。

うん。想像した通り爽やか。
和風おろしハンバーグも好きなので、とんかつにおろし付きは嬉しい。
(欲を言うならもう少し量がほしかった。)

味噌汁も安定の味。

何度も申し上げるが、これで690円は本当に安い!
家でロース肉を買って揚げるより安あがりって、家で揚げ物をしなくなるわけだ。

もしかしたら、とんかつ90グラムというのは男性には少し物足りなく感じるかもしれない。
私でもあっと言う間に食べ終えてしまい、どんぶりに入ったご飯が余ってしまった。
うーむ。どうしよう。

そんな時、目に入ったのがカレーの文字。
170円。

これは頼まないわけにはいかない。
「すみませ~ん。このカレーってありますか?」

少し時間を頂くとのことでしたが、すぐにやってきた。

アツアツに温められたカレーは蕎麦屋のカレーみたいなイメージ。
とろっと濃厚でコクがあって美味しい。クリーミーなカレー。

これは注文して良かった。
白飯だけ残すのも気が引けるので、残すことなく楽しめた。

「ごちそうさまです」

合計860円でお腹いっぱいの大満足。
シンプルなとんかつが食べたいという欲を十分に満たしてくれた。

店を後にし真冬の冷たい空気にさらされたとき、あの言葉がまた脳裏をよぎった。

「とんかつを好きな時に食べられる大人になれればいい。」

店舗情報
店舗名:とんかつ味よし
定休日:金曜日
営業時間:11:30~13:40 17:30~20:40
住所:練馬区関町北2-29-6 中野ビル1階

こちらもどうぞ「練馬区のとんかつ」

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